世界中で、どれくらいの子どもたちが亡くなっているかを知っていますか?
2017年、世界中で540万人の子どもたち(5歳未満児)が亡くなりました。その数は、年々減少傾向にあるとは言え、生後1カ月にも満たない子どもたちが、毎日7,000人も亡くなっているのが現状です。死亡原因のほとんどは、先進国では見られないような予防可能な原因です。
今回は、乳児死亡が起こる原因と、その解決策についてお話していきます。
乳児死亡率とは、生まれてから満1歳になるまでに亡くなってしまった子どもの数を表した割合です。
類似した言葉では、新生児死亡率がありますが、こちらは生後28日以内に亡くなってしまった子どもの数を表した割合です。
ユニセフでは以下のように定義されています。
乳児死亡率
出生時から満1歳に達する日までに死亡する確率。出生1,000人あたりの死亡数で表す。
新生児死亡率
出生時から生後28日以 内に死亡する確率。出生1,000人あたりの死亡数で表す。(注1)
ユニセフの発表によると、2016年時点での乳児死亡率(1000出産あたりの死亡数)は、世界平均で31です。
子どもの死亡リスクが最も高いのは、生後1カ月までと言われています。期間別に見ていくと、生まれてから1カ月未満が18/1,000人、生後1カ月から1歳未満が12/1,000人、1歳から5歳未満が10/1,000人と、徐々に死亡リスクが下がっていきます。(注3)
2017年だけで、生後1カ月以内に亡くなった子どもの数は250万人。そのうちの90万人は、生まれたその日に亡くなっています。(注3)
後発開発途上国と言われる国々では、約45%の母親が、医師や助産師などの専門家の立ち会いなしで出産をしている状況です。そのような母親は保健施設ではない場所で出産しているのです。(注1)
後発開発途上国とは?
開発途上国の中でも特に開発が遅れているとされる47カ国を指します。うち33カ国は、南スーダンやルワンダなどアフリカの国々です。参考:後発開発途上国(LDC:Least Developed Country) | 外務省)
ユニセフの発表によると、2016年時点での乳児死亡率(年間の1000出産当たりの生後1年未満の死亡数)は、世界平均で31、後発開発途上国で48です。地域別では、サハラ以南のアフリカで53、とくに西部・中部アフリカでは63です。
乳児死亡率が高い国で共通していることは、母親が、出産(出生)後の健診を受ける割合が低いことが挙げられます。
日本において、母親が産前産後に病院で検査を受けないのは、特別な状況を除いては極めて珍しいことかもしれません。しかし、後発開発途上国では産前・産後後のケアを受けている母親は40%程度とされます。(注1)
妊娠・出産で死亡するリスクは非常に高く、約50人に1人の母親が亡くなっています。母親が出産時に死亡すると、子どもが5 歳までに亡くなる可能性はそうでない場合と比べて10倍とされており、産前・産後のケアは、子どもの生存率を高めるために重要になります。
乳幼児の主な死亡原因は、4つです。
1. 出産時の合併症
2. 肺炎などの感染症
3. 下痢
4. マラリア
新生児の死亡原因に限れば、合併症、感染症で80%を占めます。(出典:UN-IGME-Child-Mortality-Report-2018)
これらは、先進国ではほとんど見られない、解決が可能な原因です。清潔な水を飲む、石鹸での手洗いを行う、良好な栄養摂取と抗生物質の投与などによって、合併症、肺炎、下痢を防ぐことができます。
また毎年85 万人もの乳幼児がマラリアによって死亡していますが、防虫蚊帳を使うこと、妊産婦への予防的治療、殺虫剤を使用をすることで、死亡率を下げることができます。
乳児死亡率を下げるためには、女性への教育が大きなカギになります。
12年間以上教育を受けた女性は、教育期間が1〜6年の母親よりも、妊娠・出産で死亡する可能性が1/2になるというデータがあります。(出典:Committing to Child Survival: Promise Renewed 2013)
教育を受け、読み書きができるようになれば、母親は薬や粉ミルクを、正しい方法で子どもに与えられるようになります。衛生観念も身についたり、子どもを計画的に授かったりするようにもなります。(注4)
安全な水を利用することで、下痢や伝染症の発生を抑えることができます。途上国に暮らす人々が、このことを理解するには、基礎レベルの教育が必要です。
WHO とユニセフが行った調査によれば、ネパールにおける教育レベルの向上が、野外での排泄率を低減させることが明らかになっています(注5)。
教育水準を測る指標に、識字率というものが存在します。 識字率は、読み書きができ、日常生活についての簡単な短文を理解できる人の割合を表したデータです。
都市部に比べて地方に住む子どもたちは、教育を受けられる環境になく、就学率や識字率が低い傾向にあります。2011年までに収集されたデータから、安全な水を入手できない人々の83%が遠隔地に居住しているため、正しい衛生観念が身につかないということが起きているのです。(注5)
国全体で見れば成人の識字率が高い国でも、女性の就学率や識字率が低いという国はたくさん存在します。
世界の成人女性の識字率
(引用:Infographic: Gender equality - Where are we today?infographic-gender-equality-where-are-we-today | UN Women - Headquarters)(注6)
上図は、女性の識字率を表したデータです。2016年時点での識字率は、世界平均で86%ですが、低所得国の女性に限っては53%しかありません。
女性には教育が必要ないという地域には、「女性は早く結婚して家事をするもの」「女性に学校の勉強は役に立たない」という差別や偏見が根強く残っていることもあります。学校においても、女性用トイレがない、教育の仕方に男女差別があるというケースも存在します。
ワールド・ビジョンでは、識字率向上のために、チャイルド・スポンサーシップを中心とする支援プログラムを通じて、どのような状況においても、子どもたちが教育を受けることができる環境づくりを行っています。
具体的には、以下のような例があります。
支援地域の人々が子どもの健やかな成長のために必要な環境を整えていけるよう、長期的な支援プログラムに力を入れています。
そんな私たちの活動を支えるのは、
「チャイルド・スポンサーシップ」というプログラムです。
チャイルド・スポンサーシップは、
月々4,500円、1日あたり150円の皆さまからの継続支援です。
貧困、紛争、災害。世界の問題に苦しむ子どもとともに歩み、
子どもたちの未来を取り戻す活動に、
あなたも参加しませんか。
今あなたにできること、
一日あたり150円で子どもたちに希望を。