自然災害でも、紛争でも、被災者の半数以上は子どもたちです。
国際NGOワールド・ビジョンは、危機においてもっとも弱い立場に置かれる子どもたちを守るため、①緊急援助 ②復興支援 ③防災・減災の活動を行います。
人道支援とは、主要な国際機関等により「緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援」と定義されており、「人間の安全保障」の確保のための具体的な取組の一つです。 緊急事態への対応だけでなく、災害予防・救援、復旧・復興支援等も含まれています。
迅速な緊急支援を可能とするのは、日ごろの備えです。
ワールド・ビジョンが活動する多くの国で、災害直後に被災者へ配布する支援物資(ビニールシート、給水タンク、浄水剤、シェルターの材料、調理器具、毛布等)を倉庫に備蓄する一方、食糧については非常時の入手手段を確保しています。
また、戦略的に選ばれた世界に4カ所ある備蓄倉庫からは、必要な支援物資を運搬できる体制も整えています。
NGOワールド・ビジョンには、緊急支援専門のスタッフから成るグローバル緊急支援チームがあります。世界各地の災害/紛争地域に身を置き、新たな大規模災害等が発生した際には、発生から数時間で派遣され、緊急支援を行う国の現地スタッフをサポートします。
緊急事態に備え、皆さまからお預かりしている緊急援助募金が、速やかな支援の初動を可能にしています。
特定の災害/紛争のための募金活動や、政府等からの助成金で新たな資金を得られるまでには時間を要するため、この緊急援助募金による資金が、迅速な支援のために大切な役割を果たしています。
大規模災害/紛争における支援では、NGOワールド・ビジョンは国連機関やその他の援助組織と連携して活動します。
これにより、支援の重複や無駄を防ぎ、限られたリソースを効率的に活用することができます。
災害/紛争発生時、人命最優先の支援を行う緊急期を経て、復興支援へと移行します。被災した子どもの保護者が生計手段を回復し、子どもたちが健やかに成長できる生活基盤を取り戻すためには、次の分野での支援が必要です。
安心して住める家に入居できること、安全な水、安定した食糧の供給、教育へのアクセスなどを再び実現し、コミュニティが将来の災害に備えていける力を蓄えられるよう、地域の人々とともに活動しながら、中長期的な支援を行います。
また、被災により精神的に不安定になる子どもたちのために、子どもたちが自由に過ごせる「チャイルド・フレンドリー・スペース」を運営します(緊急期から開始することもあります)。子どもたちに安全な遊び・学びの場を提供することで、精神的なショックを和らげ、子どもの成長に欠かせない生活のリズムを取り戻す効果が期待できます。子どもたちが平常心を回復し、復興への希望や期待が持てるよう、支援します。
ワールド・ビジョンは、干ばつ、地震、台風、洪水などの様々な災害を前もって想定し、そのリスクに備えて子どもたちを守る「防災・減災」の活動に力を入れています。
子どもたちの成長するコミュニティが自然災害に対応する力をつけ、 被災してもその後に回復できる強さを育むことを目指し、次の 3原則による活動を行っています。
これらの原則は、緊急援助だけでなく、チャイルド・スポンサーシップを中心とする開発援助の活動でも積極的に取り組んでいます。(詳しくは、こちらの記事をご覧ください)
また、台風、洪水、飢きん等の災害や、紛争などの兆候を察知する早期警戒(early warning)にも力を入れています。世界各地のスタッフが、リスクのある国や地域の状況をモニタリングし、継続的に情報収集しています。予め情報を集めることにより、どこでどの程度の被害がでるかを予測し、災害/紛争によって生じる被害を減らす減災につなげることができるのです。