【欧州難民危機】 子どもたちには特別な保護が必要です

(2015.09.07)

欧州でのシリア難民支援に着手

日々深刻化している、欧州難民危機。多くの難民はシリア紛争が原因で生まれています。ワールド・ビジョンは、シリア危機が表面化した2011年から、シリア周辺国で難民となった方々への支援活動を行ってきました。特に子どもたちのケアを中心に、レバノン、ヨルダン、イラクそしてシリア国内でこれまでに180万人に支援を届けました

しかし、今、増え続ける難民はEU諸国へも押し寄せています。今年に入ってからこれまでに約36万人の難民が地中海を通ってヨーロッパに渡り、そのうち2,500人以上がその途中で命を落としています。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、今年に入ってからセルビアで8万人以上の難民登録を行いましたが、絶え間ない難民の流入により国内は飽和状態だと報告しています。また、厳しい冬の到来も懸念されます。ワールド・ビジョンは、難民に対する支援が不足していることを深刻にとらえ、特に、8,000人とも推定される保護者とはぐれた子どもたちへのケアが急務となっています。ワールド・ビジョンは、セルビアでのニーズ調査に着手し、支援の実施を検討しています。

シリアからイラクに逃れてきた家族。狭い部屋を、親戚を含めた26人でシェアしている
シリアからイラクに逃れてきた家族。狭い部屋を、親戚を含めた26人でシェアしている

EU(欧州連合)へのアドボカシーも活発化

一方、9月14日にベルギーのブリュッセルで開催されるEUの緊急会合を前に、ワールド・ビジョンは、EU法務・内務理事会が難民の子どもたちの安全と福祉を約束するよう強く要請しています。

ワールド・ビジョン・ブリュッセルのアドボカシー・ディレクターであるドブルカは、

「子どもの権利条約と人権宣言を、すべてのEU諸国は批准しているはずです。
特に、すべての人が保護施設を求める権利を有すると、認められています。
難民、特に子どもには特別の保護がなされるべきです」
と語ります

ワールド・ビジョンのスタッフが働く簡易診療所に来た、ヌスラちゃん(1歳半)。家族とともに、シリアからイラクへ逃れてきた
ワールド・ビジョンのスタッフが働く簡易診療所に来た、ヌスラちゃん(1歳半)。家族とともに、シリアからイラクへ逃れてきた

欧州に逃れているよりはるかに多い、隣国に逃れている難民

400万人を突破したシリア難民の多くは、以前から近隣のトルコ、レバノン、ヨルダン等の近隣諸国に逃れています。

ワールド・ビジョン・ジャパンは特に、ヨルダンに逃れたシリア難民の子どもたちのために、補習授業の実施やノート、ペンなどの文房具セット、食事の支援を行っています。

ヨルダンに駐在していた國吉スタッフは、「支援を受けた多くの子どもたちが"また明日も来たい"と語ってくれました。いつも身近にいるスタッフとして、非常に嬉しいコメントでした。子どもたちが暴力の被害にあったり、悲しい思いを抱えることがないよう、自分を自由に表現できる場所を提供したり、友だちと遊び、学び、希望を持って学校へ通えるような難民支援活動を、今後も行っていきます」と語りました。


シリア難民の子どもたちの今を守り、未来へつなげるために。
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