(2018.10.31)
世界各地で終わりの見えない紛争や、気候変動の影響による自然災害が頻発しています。ワールド・ビジョンは、こうした危機においてもっとも弱い立場に置かれている子どもたちのため、緊急人道支援を行っています。今回は、いま支援を実施している国の一つ、ソマリア連邦共和国についてご紹介します。
ソマリア連邦共和国(以下、ソマリア)は、「アフリカの角」と呼ばれる東アフリカの一角に位置し、1960 年にイギリスとイタリアから独立した国です。独立後も部族抗争が止まず、不安定な情勢が続くなか、1991年、当時のバレ大統領が追放され、内戦状態に突入しました。1992年には、平和維持活動(PKO)のため多国籍軍が派遣されますが、3 年後ソマリア民兵との激しい戦闘により撤退し、ソマリア国内の争いが泥沼化しました。
さらに、2011年には東アフリカで大干ばつが発生し、ソマリアからも多くの人々が、隣国ケニアやイエメンに難民として流出しました。1960年の独立以降争いが絶えず、国の体制や経済は崩壊状態で、2000年ごろからはソマリア沖で海賊行為が頻発するなど、ソマリアは世界最貧国のひとつです。
紛争に加えて、近年は大規模な干ばつと食糧不足が負の連鎖を生み、支援を必要としている人々は、現在540万人にも達しています。
2017年の干ばつの影響により、家計の収入源となる家畜のヤギを失ったワルサさんは、子どもたちを養うために、食糧支援に頼らざるをえません。食べ物が手に入ると、同じように食べ物に困っている隣人と分け合って日々をしのいでいます。
2017年の干ばつは、ソマリアの人々の生活に深刻な影響をもたらしています。2018年6月末時点で、人口の約20%にあたる260万人のソマリアの人々が、干ばつや紛争の影響により避難を強いられています。
ワールド・ビジョン・ソマリア
食糧支援マネージャー
フィリップ・ンデケイ
ソマリアでは人口の約40%にあたる540万人の人々、特に栄養不良のリスクにさらされている280万人の子どもたちが、まさに今、支援を必要としています。
ある28歳の母親は「干ばつが続く中で夫が怪我をして、今6人の子どもを養うことが本当に厳しいです。ほかの家では1日3食食べていても、私たち家族は1食を食べることすら難しいのです」と語っています。
ソマリアの子どもたちの未来を明るくできるよう、日本の皆さまにもぜひご支援に参加いただけましたら幸いです。