【エチオピア】ジョウィ難民キャンプにて中等学校の開校式を行いました

(2017.11.17)

ジョウィ難民キャンプ初の中等学校が完成しました!


ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、エチオピアで避難生活を送る南スーダン難民を対象に、教育水衛生環境整備事業を行っています。その一環として、ジョウィ難民キャンプ内では初となる中等学校(日本の中学・高校に相当)の校舎を建設し、2017年10月19日に開校式を行いました。これにより、子どもたちは初等教育を終えた後も、勉強を続けられるようになりました。

小学校卒業後も学び続けられる環境に


【背景】

2013年12月に南スーダンの首都ジュバで武力衝突が発生し、その後の戦闘により子どもを含む多くの南スーダン難民がエチオピアのガンベラ州に流入しました。ガンベラ州内の難民キャンプの一つであるジョウィ難民キャンプには5万9千人の難民が暮らしています。キャンプ内にはこれまで中等学校がなく、初等学校を終えた子どもたちが教育を続けることができませんでした。それだけではなく、将来の展望を描くことができない状況により、青少年が犯罪や暴力に関わる、または巻き込まれるリスクにさらされていました。

【目的】
本事業では、教育施設の整備や中等教育支援(9~10年生課程:日本の中学校3年生~高校1年生に相当)の実施等を通し、初等学校を終えた青少年に安心して学べる環境を提供することで、避難生活においても教育が続けられるようにすることを目的としています。これにより、難民キャンプに暮らす子どもたちが、避難生活で遭遇するさまざまなリスクを回避するだけではなく、紛争終結後に南スーダンの復興を担う人材として育成されることを目指しています。
完成した校舎と生徒たち

難民キャンプでの教育の重要性

難民の流入から4年が経とうとする現在でも、南スーダン周辺諸国への難民の流入は続き、これまでに39万人近くの難民がエチオピアのガンベラ州内で避難生活を送っています。

帰還のめどが立たない中で避難生活は長期化し、難民と、難民を受け入れているホスト・コミュニティとの間にも軋轢(あつれき)が生じています。ホスト・コミュニティと難民が相互理解をしながら平和的共存を進めていく上でも、青少年が学校に通い教育を受け続けるということは非常に大切なことです。本事業で建設した中等学校は、難民生徒だけではなく、ホスト・コミュニティ出身の生徒と難民の生徒が、相互理解を深めながら、ともに勉強していく場になることが期待されています。

目を輝かせる生徒たちと事業担当の大井スタッフ

開校式の様子

10月19日(木)開校式当日は朝から雨が降りしきる日でしたが、式の直前に雨が上がり、天候にも恵まれた一日となりました。開校式は生徒による歓迎の歌によって始まり、日本政府をはじめエチオピア政府、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)、その他関係者の皆さまよりご祝辞と激励のお言葉をいただきました。ワールド・ビジョン・エチオピアおよびワールド・ビジョン・ジャパンの両事務局長も出席し、平和的共存と教育の重要さを訴えました。

新しい校舎を前に生徒一人ひとりが目を輝かせながら、将来に向かっての強い希望を思い描く時間となりました。

リンク 大井スタッフによるブログ(開会式の様子)はこちら

テープカットをする事務局長の木内(右から二人目)

校長先生から日本のご支援者の皆さまへ

「日本の皆さん、これまでのご支援に感謝します。皆さんのご支援のおかげで、今日、無事に開校式を行うことができました。皆さんのご支援で建設したこの校舎を、しっかりと維持して次の世代に残していけるよう、教員一同全力を尽くしていきます。

これまで中等学校がなかったジョウィ難民キャンプですが、学校を開始できることで生徒たちはとても喜んでいます。すでに仮校舎で1年間授業を実施して来ましたが、生徒一人ひとりがやる気に満ち溢れて勉強に励んでいます。また、キャンプ内での就学率を更に向上していくために、コミュニティへの啓発活動を続け、教育の大切さをしっかりと訴えていきたいと思います」

ジョウィ難民キャンプ中等学校のゲテネット校長先生

事務局長 木内真理子より

「ワールド・ビジョン・ジャパンは、2014年8月より、南スーダン難民を対象とした教育・衛生支援を行ってきました。現在、ジョウィ難民キャンプでは、604人の生徒が9年生・10年生として学んでいます。

これまでの教育支援の実施、また今回の学校建設にあたり、多大なるご支援とご協力をいただきましたジャパン・プラットフォーム(JPF)、そして遺贈によるご寄付をくださった故山崎昌利様、UNHCR、ガンベラ州教育局を始めとする関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

教育は、国の発展、そして平和な社会をつくるために不可欠です。80年前の大戦後、日本は荒廃の状態から立ち直るために教育に力を入れ、ついには復興を成し遂げることができました。教育は人を変え、人は国を変えることができるのです。

特に、女性(女子)が教育を受けることは、南スーダンの将来にとって大変重要です。健康的な家庭を築き、収入を増やし、何より女性が自身の人生を切り拓いていくことにつながるからです。このジョウィのキャンプにおいて、ワールド・ビジョン・ジャパンの教育支援により、35人の女子学生のうち、32人が9年生から10年生に進級できたことをとても嬉しく思っております。勉強できることの喜びに目をキラキラさせていた女子学生と過ごしたひと時は、私にとってもきっと忘れられない思い出になると思います。そして、女性がこれからも教育を受け続けられるよう、ぜひサポートをお願いします、と言ったときに拍手を以て賛同してくれた男子学生がとても心強く映りました




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スピーチをする事務局長の木内


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