チャイルド・スポンサーシップからの卒業

(2017.06.01)


10~15 年という長期間にわたり地域住民とともに
活動を進めるチャイルド・スポンサーシップ。
チャイルドが大人へと成長するように、
支援によって地域は変化し
やがて支援からの卒業を迎えます。

「本当に地域を去って大丈夫なの?」という不安な想いに
自信を持って「はい!!」と答えられるように
最終段階として設けられている卒業準備期。

2017年9 月に支援から卒業する
ケニアのオレントン地域。
15年間の支援でどのような成果があり、
どのような準備を経て
卒業を迎えようとしているのか
実例をもってご紹介します。

心優しく支えてくれたあなたへ 「ありがとう」

ワールド・ビジョンが地域を去る前の〈卒業準備期〉とは?  


チャイルド・スポンサーシップによる支援が終了し、ワールド・ビジョンが撤退した後は、支援によって力をつけた住民組織や行政関係者、そして子どもたちやその保護者が活動を引継いでいきます。支援の成果を地域に長く残し、発展させていくためには、その地域の人々自身が主体的に考え、行動していかなければなりません。そのために、卒業準備期の5 年間は、地域の組織作り・強化と人材の育成に重点的に取り組みます。

★ケニア オレントン地域開発プログラム (2003 年~2017 年9 月)

支援地域は首都のナイロビから西へ150 キロメートル、車で約2 時間の北ナロク県マウ郡。住民の多くがマサイ族で、農業や家畜の飼育で生計を立てています。


オレントン地域開発プログラムでの卒業準備期の取り組み

①地域の組織作り・強化


これまでの支援により、学校の教育環境や教育の質が向上してきました。この
成果をこれからも地域の学校に残し、さらに向上させていくために、保護者や
地域のリーダーから成る「学校運営委員会」への研修を教育省と協力して各学
校で行っています。資金や教材の管理方法、親や生徒への説明責任の果たし方、
教育の質を向上するためのカリキュラムの見直しなど、今後の学校運営に必要
な知識と能力を委員会のメンバーに身につけてもらうことが狙いです。


②人材の育成


各家庭を回って健康管理に関する知識を普及したり、子どもたちの身体測定を
行って栄養や発達の状態を把握し、必要に応じて地域の保健センターへ紹介す
るなどの役割を担う、「地域保健ボランティア」の存在が極めて重要です。今
後も、地域の人々の健康管理のために活躍が期待される地域保健ボランティア
の育成にも、力を入れています。

確かに引き継がれている、子どもたちへの想い

最も貧しい子どもたちへの支援を始めた住民グループ

15 人のメンバーから成るこの住民グループは、支援によるミシンの提供、経営能力向上の研修を受けて、洋裁と服の販売ビジネスを行っています。収入は銀行に預金するだけでなく、地域の最も貧しい子どもたちに制服を提供する活動にも使っています。このように、これまでの支援によって力をつけた人々が、ワールド・ビジョン・ジャパンに代わって地域の子どもたちをサポートする活動を始めています。

15 年にわたる支援により、地域にたくさんの変化が起こりました!!









歩けるようになり、教育も受けることができました

オレントン地域出身 ティカニさん(22 歳)

ぼくは、母親と6 人の兄弟とともに育ちました。幼い頃、ポリオにかかった後遺症で、足が不自由でしたが、支援で手術を受けることができ、歩けるようになりました。母親は、学校に通ったことがありませんでした。しかし、ワールド・ビジョンの啓発活動を通して教育の重要性を理解し、ぼくたちを学校に通わせるようになりました。その後も、学費の支援のおかげで高校を無事に卒業し、今は、溶接と金属製品製造の研修を受けています。将来は、自分の工場を持ちたい、という夢を持っています。

日本から支援してくださった皆さま、本当にありがとうございました!


チャイルド・ スポンサーシップによる長期支援 ~オレントン地域の場合~

【準備期】2003年- 2004年 

  • 地域調査、住民・行政と関係構築、事業計画策定



【第1期】2005年- 2008年 

  • チャイルドの登録、住民組織づくり、施設建設、保健衛生・栄養・教育・収入向上等の研修、啓発


【第2期】2009年- 2012年 

  • 活動の継続・主体性の醸成、地域レベルのアドボカシー(行政への働きかけ)



【第3期】2013年- 2017年 【※卒業準備期】

  • 第2期での活動の継続や持続的発展に向けた体制づくり、地域住民の主体性を伸ばす研修、地方行政や現地NGO等との連携強化、財源確保のための働きかけ等



【支援卒業!】2017年





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