エチオピア・ガンベラ州の南スーダン難民キャンプは、2014年に避難してきた難民が大半を占めており、キャンプ内での避難生活の長期化が見込まれています。将来の見通しが立たない厳しい環境の中、学校へ行くことができず、劣悪な衛生環境のために水因性の下痢や感染症のリスクにさらされている人々が多くいる状況が続いていました。
また、65万人以上のシリア難民を受け入れているヨルダンでは、シリア危機の長期化を受け、国内に避難しているすべてのシリア人の子どもたちに教育の機会を提供するため、午前・午後の二部制の学校を増やしています。学習時間の短縮や大人数の教室といった教育の質の低下が原因となり、学力が身につかず退学してしまう児童も多く、そのような子どもたちが児童婚や児童労働などの危険にさらされていました。
- 開校した南スーダンキャンプの中等学校での授業風景
エチオピアのジョウィ難民キャンプでは、キャンプ内で初となる中等学校を開校し、初等学校を卒業した子どもたちが勉強を続けていくための環境を整備しました。授業の提供だけではなく、学校運営や教員の研修、コミュニティによるPTAような組織の設置、難民コミュニティ内での女子教育の啓発活動等を実施し、コミュニティ全体で教育をサポートできるよう体制を整えました。
また、多くのシリア難民が暮らすヨルダン北部の都市イルビドとザルカでは、シリア難民と地元のヨルダン人の子どもたちを対象に、補習授業を実施しました。紛争で学校に行けなかった期間の学習の遅れを取り戻し、学力は着実に向上。学習意欲も高まり、自信や自己表現の回復にもつながりました。また、避難生活による不安やストレスを和らげるために取り入れた図画工作やスポーツなどのレクリエーション活動では、社会性や思いやりの気持ちの回復も見られました。
- ヨルダンでの補習授業の様子
南スーダンから避難してきたガットベルくん
「将来はNGOで働いて、子どもたちに教育の機会を作ってあげたいという思いで勉強を続けています。故郷や祖国での戦闘の悲惨な状況が噂で聞こえてくるたびに、今はここで勉強を続けて、祖国を変える人にならなきゃという思いが強くなります」
- 南スーダンから避難してきたガットベルくん
シリアから避難してきたブシュラさん(13歳)
「ワールド・ビジョンが運営する補習授業では、平日の学校の授業が始まる前にアラビア語、英語、算数の補習を受け、授業の終わりには絵を描いたり簡単なスポーツをしています。
補習授業を受けてからは計算もできるようになって、算数のおもしろさに目覚めました。ほかの科目の成績もうんとよくなり、それが自信にもつながっています。将来の夢はお医者さんになること。実現するために頑張って勉強するつもりです」
- シリアから避難してきたブシュラさん(13歳)
水・食糧支援のための募金
【事業実施国】
ソマリア、スーダン、南スーダン、ルワンダ、イラク、ミャンマー、バングラデシュ
【支援の背景】
バングラデシュ北東部のシレット管区シレット県ゴワインガット郡は、地理的要因も相まって長らく国全体の開発から取り残されていました。安全な水を利用している世帯の割合や、衛生的なトイレを保有する世帯の割合などは、いずれも全国平均を大きく下回り、子どもの健康に対する大きなリスクとなっています。
- 水溜りの水を生活用水として使用する女性たち
【支援の成果:子どもたちに安全な水を届ける活動ができています】
2017年は、79基の井戸の建設や1,156基のトイレの設置などを行い、あわせて手洗いやトイレの使用などの衛生習慣を身につけられるよう働きかけました。サンプル調査の結果、適切な手洗い行動をとることができる親・保護者の割合が、事業開始当初と比較して19%増加するなど、支援地域内の衛生的な行動の改善に貢献していることがわかりました。
- 下痢にかかった時に飲む経口補水塩の作り方のデモンストレーション
【支援地域からの声】
バングラデシュのコミュニティ・リーダーの男性
「私たちの村はインドとの国境に近く、良い水源は国境線の近くにあり、水汲みにいくと越境者と間違われ、国境警備兵から狙撃されることもありました。この井戸ができて、危険な水汲みから解放され、子どもたちも身近な場所で手をきれいに洗えるようになりました。ご支援を感謝します。」
【食糧支援の活動報告】
南スーダンから食糧支援の活動報告が届いています。詳しくは
こちら。
- バングラデシュのコミュニティ・リーダーの男性