イラク北西部に位置するシンジャー地区は、2014年からの約3年間、武装勢力によって占拠されました。空爆を含む激しい戦闘が行われ、町は壊滅的な状態になりました。また、同地区に住む少数民族であるヤジディ教徒への迫害が行われ、数千人が殺害、多くの女性や子どもたちが性暴力や誘拐・人身取引の犠牲になったと言われています。紛争終結後も、地理的制約などの要因から基礎サービス復興が遅れています。また、シンジャー地区には帰還民や、紛争中もとどまった人々、元武装勢力の戦闘員の家族など様々なステータスの人々が共存しており、住民間には緊張も見られます。そのため、宗教や民族に偏らない中立的な支援が求められています。
戦闘によって損壊したままの小学校3校と、中学校1校の校舎修復を行いました。あわせて新型コロナウイルス感染防止のためのマスクや手洗い石鹸、消毒液なども配備し、子どもたちが安心して学習できる環境を整えました。
教科書や破損した窓ガラスが散乱していた校舎が、紛争前の姿を取り戻しました
新型コロナウイルスの影響で閉鎖されていたシンジャー地区の学校は、2020年11月にようやく再開。修復された校舎に、子どもたちを迎えることができました
ハンさんの一家は2014年にシンジャー地区で武装勢力の支配が始まってすぐに避難し、3年後にようやく戻って来ることができました。しかし美しい村は荒廃し、ハンさん一家の家も紛争中に激しく破壊されていました。村の中学校も破壊されていたため、ハンさんと兄弟は町にある学校に通学しなければなりませんでしたが、その交通費は一家にとって大きな負担となっていました。
本事業によって村の中学校が修復され、再び通えるようになったことを、ハンさんは心から喜んでいます。「この学校の他の生徒たちも、私と同じ気持ちです。将来はバレーボールの選手になって、イラクのナショナルチームの代表になりたいです。私の将来の夢への第一歩は、この学校から始まります。ご支援に心から感謝します」
政府の支援が届かない地域に住む、紛争中・紛争後を通じて様々な困難に直面してきた子どもたち、またその家族にとって、子どもたちが学校へ行き、学習を続けるのはとても難しいことでした。皆さまのご支援がなければ、多くの子どもたちが教育の機会を失っていたことでしょう。
シンジャー地区は山に囲まれた、自然が大変美しい地域です。武装勢力によって破壊されたこの地区の4校を、子どもたちが生き生きと学ぶ学校へと蘇らせることができました。深く感謝しています。このご支援は子どもたちが学校に戻るだけでなく、新しい人生を開くことにつながります。子どもたちとその家族の祈りによって、神様がこの素晴らしいご支援者の皆さまを通じた支援をもたらしてくださった、と実感しています。
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