児童労働反対世界デー ~インド:ロニー君のストーリー~

(2017.6.12)(2022.1.6更新)

10人に1人の子どもが、働くことを強いられています


靴工場で働く13歳のロニー君(インド)


6月12日は、児童労働反対世界デーです。ILO(国際労働機関)によると、児童労働に従事している子どもは、世界中で1億6,000万人。世界の子どものうち10人に1人が、何らかの形で労働を強いられています。そして、その半数は危険を伴う仕事に従事していると言われています。

家族を支えるために靴を作るロニー君

インド国内における児童労働の最大拠点と言われる、北部のウッタル・プラデーシュ州に住む13歳のロニー君は、家族を支えるために靴工場で働いています。本来なら学校に通い、教育を受けているはずの年齢であるロニー君は、どのような経緯で仕事を始めることになり、どのような想いで働いているのでしょうか。普段は心にしまっている気持ちを、そっと語ってくれました。

「学校が恋しくてたまらなかった...でも仕事に打ち込んだんだ」

ロニー君は、病気になった父親を手伝って、少しの間だけ仕事をすることにしました。それは、4年前のこと。父親が回復したら、学校に戻るつもりでした。

「学校が恋しくてたまらなかった...でも、仕事に打ち込んだんだ」。そして時間を重ねるごとに、ロニー君の学校への想いは薄れていってしまいました。

13歳のロニー君は、現在、父親と一緒に工場で靴を作っています。革を裁断して縫い合わせ、糊付けするのが彼の仕事です。手には傷が絶えず、いつも痛みを伴っています。

ロニー君が作った靴が売られているのは、タージ・マハルで世界的に有名なアグラ市にあるお店です。よく観光客が買い物をするマーケットのすぐ近くにあります。観光客は、安く売られている美しいハンドメイドのレザーシューズを見つけて、喜ぶことでしょう。恐らく、ロニー君のような子どもがその靴を作ったとは知らずに。

革を裁断するロニー君。作業には危険が伴う

痛みと不安の中で

仕事場の工場には、重い機械が設置され、尖った道具が無造作にあちこちに置かれています。いつも近くに社長がいて、ロニー君の作業が遅いと怒鳴ります。

「社長は、ぼくがうまく仕事ができていないときには、怒鳴りつけます。とってもこわいです」とロニー君は言います。「仕事に行きたくない日もあります。でも、ぼくが働かないと、家族には、食べ物を買ったり家賃を払ったりするためのお金がないのです」

ロニー君は、世界中の他の子どもたちと同じように、将来への大きな可能性を持って、この世界に生まれたはずです。しかし、彼は今、危険な環境の中での労働を強いられています。

「もし、もう一度勉強できるチャンスがあれば、仕事をやめるんだけどなぁ」

「学校が恋しくてたまらなかった...でも仕事に打ち込んだんだ」と語るロニー君

ロニー君が語ってくれた将来の夢とは。ぜひ動画をご覧ください。

一人でも多くの子どもたちに「夢をかなえる」チャンスを

児童労働は、子どもたちの権利を侵害するだけでなく、成長過程の途中にある子どもたちに、身体的・心理的にも悪影響を及ぼします。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすことを目標として掲げています。児童労働反対のために、私たちにできること―。あなたが今手に取った商品が、どこから来たのか、そしてその商品の製造過程に子どもは関わってないだろうか、と思いを巡らすことが、まずはその第一歩になるかもしれません。

また、日本からでも、ロニー君のような子どもたちのためにできる支援があります。ワールド・ビジョンの支援により、ロニー君の弟は学校に通えるようになりました。ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップ貧困のために厳しい状況で生きる子どもたちを取り巻く環境を改善し、子どもたちが「自分で生きる力」をつけられるよう支える支援プログラムです。日本では5万人以上の方が、チャイルド・スポンサーとして子どもたちの夢を応援してくださっています。詳しくはこちらをご覧ください。

今あなたにできること、一日あたり150円で子どもたちに希望を。

世界の問題と子どもたち

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