食糧危機が続く南スーダンからの活動の報告です

(2018.03.23)

ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、危機においてもっとも弱い立場に置かれる子どもたちたちを守るため、国連機関、日本政府やその他の団体と連携して活動を行っています。今回は、皆さまからの募金とジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金とで2017年度に実施することができた南スーダンでの水・食糧支援活動の成果をご報告します。

支援の背景

ワールド・ビジョン・ジャパンは、2002年よりスーダンから独立前の南部スーダン(西エクアトリア州)で活動を実施してきました。これまで、2006年よりジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を受け、南スーダン、アッパーナイル州にて帰還民支援として水・衛生、生計向上、教育支援を実施しています。

2013年の紛争再発以降、紛争の影響、破綻的な経済状況、気候変動の影響、さらに国を支える農業地帯の治安の悪化により、南スーダンの食糧・栄養危機はかつてない危機的レベルに陥り深刻さを増しています。

2017年2月には事業地に隣接するユニティ州で飢饉が発生したことが宣言され約10万人が飢餓やそれに伴う死に直面していました。

上腕の周囲を計測し栄養不良を識別する(赤は重度急性栄養不良を示す)

南スーダンでの支援活動について、詳しくはこちら

栄養不良の赤ちゃんとお母さんに支援が届けられました!

深刻な食糧危機の影響を最も受けた地域である南スーダン北部に位置するワラップ州において、栄養不良の5歳未満児および妊娠・授乳中の母親の栄養状態の回復に取り組みました。

コミュニティ栄養ボランティアが5歳未満の子どもと妊娠中・授乳中の女性の栄養状態を計測し、栄養不良の度合いにより「中度急性栄養不良(MAM)」「重度急性栄養不良(SAM)」「合併症を伴うSAM」の3グループに分け、MAMの対象者には栄養が強化された食糧を提供し栄養不良から健康な状態に回復させる治療を実施しました。

SAMの子どもには栄養治療食の提供と合併症を伴う場合には、重度栄養不良治療センターにて入院治療を行い、栄養不良により命の危機にあった子どもたちの回復をサポートしました。

栄養治療食を食べる子ども(重度急性栄養不良の特徴である浮腫(むくみ)が見られる)

数値で見る成果

  • 12,002人:栄養が強化された食糧の提供を受けた中度急性栄養不良の子ども
  • 6,513人:栄養が強化された食糧の提供を受けた妊娠中、授乳中の母親
  • 3,271人:栄養治療食の提供を受けた重度栄養不良の子ども
  • 1,988人:回復した重度栄養不良の子ども
栄養治療食を受け取る親子

支援地域からの声:

「病気がちだった子どもたちが元気になりました!」

マクエールちゃん(12カ月)のお母さんであるアチュットさんは、以前に栄養不良で子どもを亡くした経験を持つお母さんです。ワールド・ビジョン(WV)から支援を受ける前と後での気持ちの変化を話してくれました。

「支援を受ける前は、私も夫も仕事がなく、十分な食事を子どもたちに与えることができなかったため、子どもたちは病気がちでした。事業で支援を受けるまでは、子どもたちの病気の原因が栄養不良によるものだとわかりませんでした。

WVからは、子どもたちの栄養状況の回復のために、様々な形で支援を受けました。1歳のマクエールはピーナッツバターに似たペースト状の栄養治療食、ほかの兄弟も栄養ある食べ物をいただきました。乳幼児の食事の取り方、水衛生などについても教えてもらい、バランスのとれた食事を家族に食べさせることができるようになって、家族の健康状態が良くなりました」

アチュットさんとマクエールちゃん

「心も体も健康で、明るく元気になりました。ご支援くださった方に感謝を伝えたいです」

WVからの支援がきっかけで、何か希望や夢を持つことができたかどうかも聞いてみました。

「支援のお蔭で、私の子どもたちは心も体も健康で、明るく元気になりました。最近では薬を買うことがなくなったので、少しずつ貯蓄を始めました。薬を買わずにすみ、子どもたちの将来にお金を貯めることができます。

ご支援をくださった方々、またワールド・ビジョンに感謝を伝えたいです。私の子どもたち、家族、コミュニティに困難な状況から回復する大きな機会を与えてくれました。私たちが大変な状況にある時に助けられましたし、この事業が続くことを願っています」

南スーダンの厳しい状況は、今も続いています

今年も南スーダンでは昨年以上に全国規模で食糧が不足し、多くの人々の栄養状況が危ぶまれています。
今後も栄養、水・食糧支援を継続していきます。引き続きご支援をお願いします。

水と食糧のための募金はこちら

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