(2023.06.09)
南スーダン共和国は、2011年にスーダン共和国から独立してできた「世界で一番新しい国」です。イスラム教を信仰するアラブ系住民が多い北部と、キリスト教や伝統宗教を信仰するアフリカ系住民が多い南部(現:南スーダン)など多様な民族が混在していたスーダンは、古くからイギリスとエジプトによる共同統治下におかれ、南北を分断する植民地政策が取られていました。
スーダン共和国がイギリス・エジプトから独立する直前の1955年に、南部スーダンが自治や独立を求めて武装蜂起し、内戦が勃発。約半世紀にわたるスーダン内戦が続きましたが、和平合意を経て2011年に南スーダン共和国として独立を果たしました。
しかし独立後もたびたび南スーダン内部での武力衝突が勃発し、内戦が南スーダンの各地へと広がりました。2020年に暫定政府が設立し、現在も暫定政府による統治がなされ平和に向けて少しずつ進展しているものの、地域紛争が各地で繰り返されています。
また、南スーダンはGDPの大部分を石油に依存しており、油価の低迷と不安定な治安の影響により、経済的にも打撃を受けています。
南スーダンでは、各地での地域紛争、政情不安、深刻な洪水の影響を受け、232万人の難民、223万人の国内避難民が発生し、「アフリカ最大の難民危機」は今も続いています。
南スーダン西部のタンブラ郡では2021年6~10月に勃発した地域紛争により約8万人規模の避難民が発生しました(2022年9月時点)。
紛争の影響により水衛生設備や保健施設などが破壊され、人口が急増し過密状態となった避難民キャンプでは、新型コロナウイルスの感染リスクの拡大が深刻な課題となりました。
さらに、2023年4月にスーダンで発生した戦闘により、南スーダンに安全を求めて約10万人が逃れています。このことは、すでに、深刻な食料不安に悩まされている南スーダンに、さらなる不安定化の可能性を生み出しています。
ワールド・ビジョンは、避難民キャンプの井戸、仮設トイレ、手洗い場等の水衛生設備を修繕・設置し、避難民キャンプや周辺コミュニティの子どもやおとなたちに対して手洗い等の正しい衛生習慣の啓発を行いました。保健施設に対しても破壊された建物や給水システムの修繕に加え、保健スタッフ向けに感染症対策に関する研修を実施しました。
本事業は皆さまからの寄付金と、ジャパン・プラットフォーム(JPF)による助成金によって実施しています。
さらに、食料不安に直面しているぜい弱性の高い世帯を対象に緊急食料支援を実施しています。
支援事業部 緊急人道支援課
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、「世界難民の日」直前の6月15日にオンライン報告会を開催します。
紛争に加え、自然災害、大地震の発生等、状況が刻々と変わる人道支援の最前線で今、子どもたちの未来を守るために行われている取り組みを、皆さまにご紹介いたします。
日時:2023年6月15日(木) 19:00~20:00
内容:事業担当スタッフによるワールド・ビジョンの難民・避難民支援のご報告、皆さまからのQAタイム
場所:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料
ご自宅等のパソコンやスマートフォンから簡単にご参加いただけます。ぜひご参加ください。