夏期募金による支援報告 ~スリランカの帰還民支援~

2012.12.26

26年にわたり続いた内戦が残したもの


スリランカで26年にわたり続いた内戦は、2009年5月にようやく終結しました。しかし、戦火を逃れていた人々が故郷に戻っても、家、道路、学校は破壊され、田畑も荒れ果てている状態です。多くの帰還民が安定した生計を立てられず、日雇労働や人道支援団体からの食糧支援でその日暮らしをしています。

故郷に戻った帰還民 242世帯への生計回復支援

生計支援によりミシンと裁縫用機材を受け取った女性たち(スリランカ)

ワールド・ビジョン・ジャパン(以下、WVJ)は内戦の被害が大きく、支援が行き届いていない北部のキリノッチ県カラチ郡において、社会的に最も困難な状況にある帰還民家庭が安定した収入を得て生活を再建することができるように、支援を実施しています。

生計支援物資の配布
カラチ郡における生計回復支援は、主に内戦の前に農業や家畜業で収入を得ていた世帯、中でも、特にに次の方々を対象に実施しています。
  ・片親と子どもだけの世帯(多くは女性が世帯主)
  ・扶養家族数が4人以上の世帯
  ・働き手が障がいを持っている世帯
  ・1カ月の世帯収入が約2,500ルピー〈約1,500円〉以下の貧困世帯
こうして選ばれた支援対象の家庭242世帯が、それぞれの経験や状況に応じて、農業や畜産、縫製など最も適した手段を選択し、WVJはその活動に必要な物資を配布しました。

経営能力強化研修の様子(スリランカ)

経営能力強化により、安定した生活を
物資の配布に加えて、配布後の活動が軌道に乗るよう、基礎的な会計の知識や計画の立て方、ビジネスの仕組みといった経営に関する必要な知識の研修も行い、438世帯が受講しました。その結果、支出の記録を取る習慣が身につくなど、多くの受講者が研修で学んだ内容を実践しています。

さらに、問題が生じた時に対応できるように、住民組織や生産者団体、政府関係者との会合などを通じた関係構築や強化の支援を行いました。このような会合や、住民組織に合計655世帯が参加し、その結果、活動や販売に必要な技術や知識を身につけ、より安定した生計活動ができるようになりました。


生計回復支援を受けた子ども

皆さまからの募金により、最も支援を必要としている人々に支援を届けることができ、心より感謝申し上げます。