(2015.05.25)
大地震の直撃から、5月25日で1カ月。ネパール政府の発表によると、この地震による死者は8,900人を超え、約50万戸の建物が全壊しました。ネパールの総人口の約3割に当たる810万人が被災し、少なくとも95万人の子どもたちが緊急支援を必要としています。
ワールド・ビジョンは、カトマンズをはじめ、甚大な被害が出たバクタプルやラムジュン、ラリトプル等7つの地域で支援活動を展開しています。これまでに、ビニールシートや毛布、蚊帳、台所キット、食料等を、合計30,215人に届けました。
「支援の有無が、被災者の生死を分けます。時が迫っています」と語るのは、支援活動の最前線でスタッフを指揮するオペレーション・ディレクターのフィリップ・ユートです。インフラが破壊された被災地では、安全な水やトイレが不足しており、生活環境が悪化しています。特に、支援が届きにくい地域では、今後数週間で、コレラのような水から発生する病気のリスクが高まります。加えて、6月からの雨期に備え、140万人以上に食糧を用意しなければなりません。
「スタッフたちも極限状態の中で、迅速に支援を届けようと必死です」とフィリップ。ワールド・ビジョンは、政府や40を超える現地のパートナー団体と協働しながら、子どもや地域住民のニーズに応えるよう活動しています。
被災した子どもたちの心の傷を癒すため、ワールド・ビジョンは、子どもたちがのびのびと安全に遊べる場所「チャイルド・フレンドリー・スペース(CFS)」の設置を進めています。これまで、ラリトプルやバクタプル等に12カ所設置しました。
子ども保護の専門家アルパナー・ロンゴングは言います。「多くの子どもたちが、大切な人や場所を失いました。彼らは、お絵描きを通して、感情を表現し始めています。そしてそれは、自分の身に起きたことを整理する手助けにもなります」 現在、CFSのスタッフを増やすべく、若手ボランティアのトレーニングを実施しています。
今後ワールド・ビジョンは、少なくとも2年間にわたり、被災した人々や子どもたちのために支援活動を実施します。2万世帯10万人を対象にした支援物資の配布が終了したあとは、地域の復興を支える支援を開始する予定です。