2012.10.09
チャイルド・スポンサーシップによる1995年から18年間の継続的なご支援により、地域の環境が様々な形で整えられました。心からの感謝のメッセージとともに、地域での活動をご報告いたします。
【支援地概要】
ウガンダのカサウォ地域開発プログラム(以下ADP)は、首都カンパラより北東に80kmの場所に位置するカサウォ副郡の41村に住む約31,000人の地域住民を対象に1995年度から支援活動を実施してきました。1962年の独立から20数年におよぶ政治的・経済的な混乱が続き、人々の生活や子どもたちの環境にも影を落としていました。
チャイルド・スポンサーシップの支援によって、貧困に苦しんでいたカサウォ地域に暮らす人々の生活を大きく改善することができました。
カサウォADPにあるカイニ村の人々とスーザンちゃんの家族は何年もの間、沼の不衛生な水を飲むしかありませんでした。牛や山羊などの家畜により汚染された水は病原菌を含んでいました。
「汚染した水を飲むことにより、子どもたちの間で病気が蔓延していました。
下痢や寄生虫で腹部が腫れている子どもも少なくありませんでした。
雨水が沼に流れ込む雨季は、特にひどいものでした」
と、カイニ村の住人、マジドゥさんは振り返ります。
「前はしょっちゅうお腹が痛かったの。沼の水は沸かして飲むべきとは知っていたけど、のどが渇いて沼の水を直接飲むしかなかった。
でも、今は井戸水をそのまま飲んでも具合が悪くなることはないの」
と、13才のスーザンちゃんも笑顔で話してくれました。
支援前この地域では子どもの教育に対する重要性の認識が低く、農作業や家事手伝い、水汲みで学校に行かせてもらえない子どもが多い状況でした。スーザンちゃんや他の子どもたちは遠くの沼まで水を汲みに行くため、往復に長時間取られていました。
支援活動では、まず大人向けの識字教育を行いました。文字が読めることで仕事の幅を広げられることなど、教育の重要性を理解してもらうための活動を行うとともに、学校自体の設備の整備も行いました。また、地域の公衆衛生と衛生習慣を改善するため、学校や地域にトイレを設置し、井戸を作ったほか、学校や家に水を安全に管理できる貯水タンクを支援しました。
こうした支援の結果、地域の子どもたちの健康状態が改善し、現在では約9割の子どもが学校に通うまでになりました。
スーザンちゃんも毎日学校へ元気に通っています。スーザンちゃんの好きな科目は算数です。
将来はウガンダでは数少ない女性パイロットになる夢に向かって頑張っています。
2012年9月でこの地域でのワールド・ビジョンのすべての活動は終了し、ワールド・ビジョンと住民委員会の間で合意書を締結し、ワールド・ビジョンが運営、管理してきた活動や資産等を移管するとともに、住民委員会が地域のさらなる発展のために中心的な役割を担っていきます。
支援期間の最後の数年は、地域住民自身による活動の持続性や発展性に焦点をあてて様々な働きかけを行ってきました。活動の主体がワールド・ビジョンではなく、地域の人々となるようにワールド・ビジョン主体の支援を縮小しながらゆっくりと地域の人々へとバトンを渡す作業を行ってきました。
今後は今までのワールド・ビジョンの活動が地域住民によって引き継がれるとともに、政府や様々な地域組織が一体となってよりよい地域を作っていくために協力して動き出しています。
カサウォ地域では言葉では表しきれないほど多くのワールド・ビジョンによる支援と協力を受けてきました。同時に、地域との協力による継続した活動によって、我々地域住民自身にも、地域における子どもの大切さを噛みしめ、自分たちで収入を得る力をつけ、周囲の人々と協力して生活を改善していく力がつきました。
ワールド・ビジョンとともに歩んできた長い旅が終わろうとしていますが、今後も日本のスポンサーの方々とワールド・ビジョンが私たちに与えてくれた希望を胸に、よりよい地域社会を目指して皆で頑張っていきます。私たちの地域を支援してくださり本当にありがとうございました。
親愛なるスポンサーの皆さまへ
ADPスタッフ、そして地域の子どもたちを代表してご挨拶申し上げます。
私たち自身、スポンサーの皆さまとワールド・ビジョン・ジャパンに支えられながらここでの働きを楽しみ、地域の人々と子どもたちをよりよい未来へと導けたことを誇りに思っています。子どもたちを間近で見てきて、プレゼントや手紙のやりとり、支援地訪問による子どもたちとの面会によって築かれたスポンサーの皆さまとの強い絆は、子どもたちの輝かしい希望となることが確信できます。
日本のスポンサーの皆さまが18年もの長きにわたってカサウォ地域と、ここに住む子どもたちを気にかけ、支援してくださったことへの心からの感謝を改めてここに表します。皆さまが子どもたちの生活や病気・障がい等に苦しむ地域の人々に蒔いてくださった種は、彼らの希望と尊厳を育み、地域発展への活力となりました。
「"何もかも"はできなくとも"何か"はきっとできる」