【故郷を追われた子どもたちや人々】希望の種をまく難民・国内避難民支援
エチオピア:知られざる人道危機。国内避難民居住地からの帰還民への支援

(2023.06.13)

エチオピアってどんな国?

アフリカの北東部に位置する内陸国。イタリア領となった1936年からの5年間を除いて植民地化されることなく、独立を保ってきました。コーヒー豆の生産地として知られているエチオピアでは、日本の茶道のように、コーヒーを入れて客をおもてなしする作法があります。英語では「コーヒーセレモニー」と呼ばれています。

干ばつによる農業生産の落ち込みや、エリトリアやソマリアからの難民に加え、南北スーダンの軍事衝突による避難民が大量にエチオピア国内に流入し続け、経済に打撃を与えています。そのような中でも政府は国家開発計画を策定し、近年では経済成長が続いていますが、一人当たりのGNIは960米ドルと最貧国の水準にとどまっており、慢性的に食料が不足しています。

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、チャイルド・スポンサーシップにより、地図の★印のついた地域で支援活動を行っています。

エチオピアの位置

人々はどんな問題に直面しているの?

2020年11月にエチオピア北部のティグライ州で発生した紛争は、隣接するアファール州やアムハラ州にも広がり、260万人もの人々が安全を求めて国内避難民として故郷を離れざるを得ない状況となりました。

治安の回復後、国内避難民だった人々は故郷に帰ることができましたが(帰還した人を「帰還民」と呼びます)、紛争の影響で学校、診療所、給水システム、公衆トイレなどの社会インフラが破壊され、人々は非常に過酷な環境に置かれています。

特に水衛生環境の悪化は深刻で、給水施設が破壊され、帰還民は安全な水を入手することやトイレを利用することができなくなってしまったため、濁った川や池の水を飲み、屋外排泄をしていました。健康面への影響だけでなく、遠方まで水くみに行かなければいけない女性たちの安全面も大きな問題でした。

エチオピアでこんな支援を行っています

ワールド・ビジョン・ジャパンはアファール州において、合計約2万人の帰還民に対して水衛生支援事業を実施し、水道施設の修繕やトイレ、手洗い場の設置等を行っています。

この地域では以前、コミュニティの人々が共同で使用する給水システムと共用の蛇口が設置されていました。そうした給水システムや給水ポンプを動かすためのソーラーパネルの修復を行い、以前のように人々が自宅近くで安全な水を入手できるように支援しました。

また家財道具のほとんどを失った世帯も多いため、3,800世帯に水くみのためのタンクや石けんなどを提供し、遠方の世帯には給水車を送って水を提供しました。さらに公衆トイレを建設し、衛生環境の改善にも取り組んでいます。

こうした活動のおかげで、この地域の人たちは安全に生活用水を確保することができています。


修復された給水システムから水をくむ帰還民

支援事業担当スタッフから

支援事業部 開発事業第3課
プログラム・コーディネーター 池之谷 理恵


「アファール州の帰還民は戦闘によって破壊された故郷を目の当たりにし、帰還後も紛争の影響下での生活が続いています。エチオピアと聞くと標高が高いイメージがあるかもしれませんが、アファール州は標高が低く、1年の約半分は40℃を超える日が続きます。水道やトイレなど生活に必須なインフラ設備がない環境に置かれている帰還民の生活が、とくに幼い子どもたちやお年寄りにとっては、どれほど過酷なものか想像に難くありません。そのような状況の中でも、安全な水が飲めるようになり喜ぶ人々や、お年寄りに手を添えてサポートする現地スタッフの姿を見て、困難な中においても少しでも希望を見出せるような、そんな支援をこれからも届けられたらと思いました」

6月15日、ワールド・ビジョンの難民・国内避難民支援についてのオンライン報告会を開催します!

ワールド・ビジョン・ジャパンでは、「世界難民の日」直前の6月15日にオンライン報告会を開催します。

紛争に加え、自然災害、大地震の発生等、状況が刻々と変わる人道支援の最前線で今、子どもたちの未来を守るために行われている取り組みを、皆さまにご紹介いたします。

日時:2023年6月15日(木) 19:00~20:00
内容:事業担当スタッフによるワールド・ビジョンの難民・避難民支援のご報告、皆さまからのQAタイム
場所:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料

ご自宅等のパソコンやスマートフォンから簡単にご参加いただけます。ぜひご参加ください。

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