(2019.10.24)
今世界には、全人口の必要を満たせるほどの食糧が生産・備蓄されているにもかかわらず、およそ8億2,000万人が飢餓に苦しみ(※1)、心身の成長に必要な栄養をとれず、命を落とす危険に直面しています。食べ物がないことで一番大きな影響を受けるのは子どもたちです。今回は、食糧支援を実施している国の一つ、南スーダンについてご紹介します。
※1 出典:FAO:The state of FOOD SECURITY AND NUTRITION IN THE WORLD 2019
1956 年にイギリス・エジプトからスーダンが独立し、その後、南スーダンとして2011年に独立した世界で一番新しい国ですが、部族対立による内戦が現在に至るまで半世紀以上続いています。長引く争いで土地が荒廃し、十分な種まきも収穫もできない状況にあります。
食糧価格が高騰し、困窮世帯では毎日きちんと食事することが難しくなっています。人口の6 割(約690 万人)が食糧不足にあります(※2)。また、5歳になる前に亡くなる子どもの割合は、日本の30倍です。(南スーダン:91人、日本:3人。出生1,000人あたり(※3))
※2 FAO:IPC Map of South Sudan -Population distribution in IPC phases
※3 ユニセフ 世界子供白書2017
南スーダンでは、 5歳未満の子どもの86万人(※4) が、急性栄養不良と推測されています。ワールド・ビジョンでは、困窮世帯等を対象に穀物や油などの食糧、栄養補助食等の配布を行っています。診療所等で配布するペースト状の栄養補助食は、生死の境にある子どもたちの命綱になっています。
※4 unicef Nutrition briefing note May 2019, South Sudan Country Office
「紛争からの避難生活で困窮してきちんと食事をとれずにいたので、娘は急性栄養不良と診断されました。
避難民を対象に配布された栄養強化穀物のおかげで、私の母乳もきちんと出るようになり、娘も元気になりました。
今ではこんな風にダンスもするんですよ」