(2017.11.17)
難民の流入から4年が経とうとする現在でも、南スーダン周辺諸国への難民の流入は続き、これまでに39万人近くの難民がエチオピアのガンベラ州内で避難生活を送っています。
帰還のめどが立たない中で避難生活は長期化し、難民と、難民を受け入れているホスト・コミュニティとの間にも軋轢(あつれき)が生じています。ホスト・コミュニティと難民が相互理解をしながら平和的共存を進めていく上でも、青少年が学校に通い教育を受け続けるということは非常に大切なことです。本事業で建設した中等学校は、難民生徒だけではなく、ホスト・コミュニティ出身の生徒と難民の生徒が、相互理解を深めながら、ともに勉強していく場になることが期待されています。
10月19日(木)開校式当日は朝から雨が降りしきる日でしたが、式の直前に雨が上がり、天候にも恵まれた一日となりました。開校式は生徒による歓迎の歌によって始まり、日本政府をはじめエチオピア政府、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)、その他関係者の皆さまよりご祝辞と激励のお言葉をいただきました。ワールド・ビジョン・エチオピアおよびワールド・ビジョン・ジャパンの両事務局長も出席し、平和的共存と教育の重要さを訴えました。
新しい校舎を前に生徒一人ひとりが目を輝かせながら、将来に向かっての強い希望を思い描く時間となりました。
「日本の皆さん、これまでのご支援に感謝します。皆さんのご支援のおかげで、今日、無事に開校式を行うことができました。皆さんのご支援で建設したこの校舎を、しっかりと維持して次の世代に残していけるよう、教員一同全力を尽くしていきます。
これまで中等学校がなかったジョウィ難民キャンプですが、学校を開始できることで生徒たちはとても喜んでいます。すでに仮校舎で1年間授業を実施して来ましたが、生徒一人ひとりがやる気に満ち溢れて勉強に励んでいます。また、キャンプ内での就学率を更に向上していくために、コミュニティへの啓発活動を続け、教育の大切さをしっかりと訴えていきたいと思います」
「ワールド・ビジョン・ジャパンは、2014年8月より、南スーダン難民を対象とした教育・衛生支援を行ってきました。現在、ジョウィ難民キャンプでは、604人の生徒が9年生・10年生として学んでいます。
これまでの教育支援の実施、また今回の学校建設にあたり、多大なるご支援とご協力をいただきましたジャパン・プラットフォーム(JPF)、そして遺贈によるご寄付をくださった故山崎昌利様、UNHCR、ガンベラ州教育局を始めとする関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
教育は、国の発展、そして平和な社会をつくるために不可欠です。80年前の大戦後、日本は荒廃の状態から立ち直るために教育に力を入れ、ついには復興を成し遂げることができました。教育は人を変え、人は国を変えることができるのです。
特に、女性(女子)が教育を受けることは、南スーダンの将来にとって大変重要です。健康的な家庭を築き、収入を増やし、何より女性が自身の人生を切り拓いていくことにつながるからです。このジョウィのキャンプにおいて、ワールド・ビジョン・ジャパンの教育支援により、35人の女子学生のうち、32人が9年生から10年生に進級できたことをとても嬉しく思っております。勉強できることの喜びに目をキラキラさせていた女子学生と過ごしたひと時は、私にとってもきっと忘れられない思い出になると思います。そして、女性がこれからも教育を受け続けられるよう、ぜひサポートをお願いします、と言ったときに拍手を以て賛同してくれた男子学生がとても心強く映りました」